育休中の確定拠出年金の拠出について

育児休業(育休)は、働く親が子供の育児に専念するために一定期間仕事を休む制度です。育休中の給与が支給されない場合、収入が減少するため、家計に影響を及ぼすことが多いです。こうした状況下で、確定拠出年金(DC)への拠出を続けるかどうかは重要な問題です。本記事では、育休中の確定拠出年金の拠出について、その背景、メリット・デメリット、そして具体的な対応策を解説します。

1. 確定拠出年金とは

確定拠出年金(Defined Contribution Plan、以下DC)は、従業員が自らの老後資金を積み立てるための制度です。DCでは、拠出額が事前に決まっており、その運用結果に応じて将来の受取額が変動します。一般的には企業型DCと個人型DC(iDeCo)があり、企業型DCは勤務先が拠出を行い、個人型DCは個人が自ら拠出を行います。

2. 育休中の給与と社会保険

育休中は通常、給与の支給が停止されますが、一定の要件を満たせば育児休業給付金が支給されます。育児休業給付金は、育休開始から最初の180日間は賃金の67%、その後は50%が支給されます。この給付金は非課税であり、所得税や住民税の負担が軽減されます。

また、育休中は健康保険と厚生年金保険の保険料が免除されるため、その期間中に掛かる保険料の負担はありません。

3. 確定拠出年金の拠出の重要性

確定拠出年金は老後の資産形成において重要な役割を果たします。拠出を続けることで、複利の効果を享受でき、資産を着実に増やすことができます。特に、長期的な運用が前提となるDCでは、定期的な拠出が運用成果に大きな影響を与えます。

育休中に拠出を停止すると、その期間の運用益を逃すことになり、将来の受取額に影響を与える可能性があります。したがって、可能な限り拠出を継続することが推奨されます。

4. 育休中の拠出のメリット

1. 複利効果の維持
拠出を続けることで、元本が増え、それに対する運用益も増えるため、複利効果が最大限に活かされます。

2. 税制優遇の継続
DCの拠出は所得控除の対象となるため、拠出を続けることで節税効果が期待できます。特に個人型DC(iDeCo)は全額所得控除の対象となり、節税効果が高いです。

3. 老後資金の確保
拠出を続けることで、老後の資金を計画的に積み立てることができます。将来の不安を軽減し、安心して育児に専念することができます。

5. 育休中の拠出のデメリット

1. 現金の流動性の低下
育休中は収入が減少するため、家計に対する負担が増える可能性があります。DCへの拠出を続けることで、手元の現金が減少し、緊急時の支出に対応しづらくなることがあります。

2. 拠出の停止と再開の手続き
DCの拠出を一時停止する場合、その手続きが煩雑になることがあります。また、再開時にも手続きが必要となるため、育児と両立させるための手間が増えることがあります。

6. 具体的な対応策

1. 家計の見直し
育休に入る前に、家計の見直しを行い、無駄な支出を削減することが重要です。これにより、育休中の収入減少に対応しやすくなります。また、DCへの拠出を継続するための資金を確保することができます。

2. 企業型DCの利用
企業型DCを利用している場合、企業が拠出を行うため、個人の負担が軽減されます。企業の制度を確認し、育休中も企業が拠出を続けるかどうかを確認することが重要です。

3. 個人型DCの活用
個人型DC(iDeCo)を利用している場合、育休中も拠出を継続するためのプランを立てることが必要です。家計の状況を見ながら、拠出額を調整することも検討しましょう。

4. 短期的な金融資産の確保
育休中の収入減少に備えて、短期的に使える金融資産を確保しておくことが重要です。これにより、緊急時の支出に対応できるとともに、DCへの拠出を続ける余裕が生まれます。

5. 家族との協力
パートナーや家族と協力し、家計の管理や育児の負担を分担することで、育休中の経済的負担を軽減することができます。これにより、DCへの拠出を継続するための余裕を確保することが可能です。

7. まとめ

育休中の確定拠出年金の拠出については、家計の状況や将来の資産形成を考慮しながら慎重に検討する必要があります。拠出を続けることで、複利効果を享受し、老後資金を計画的に積み立てることができますが、収入減少に伴う家計への影響も無視できません。

最適な対応策を見つけるためには、事前の計画と家計の見直しが不可欠です。家族やパートナーとの協力も大切にしながら、育休中も安心して確定拠出年金の拠出を続けるための方法を見つけましょう。育児と資産形成を両立させ、将来の安心を手に入れるために、今できることを始めてみてください。

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